こんにちは。JANOG(日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ)というコミュニティで運営委員をやってるゆやりんです。
コミュニティ•カンファレンス運営 Advent Calendar 2019ということで、JANOGの運営について紹介しようと書いていたら、あまりにも長大なポエムが出来上がってしまったので、ほとんど捨てて要点を絞って最近話題のCode of Condactについて話したいと思います。
JANOGは7000名のネットワーク技術者のコミュニティ
活動のメインは年2回のMeeting
参加者は増え続けてついに1600名に
私が学生のときに初めて参加したJANOG26の時期は都内だと700名、地方だと300-400名程度の出席でした。それがここ5年くらいでどんどん増えてJANOG41で1000名超え、今回のJANOG44では1600名になりました。
JANOGのCode of Conduct をつくった
1600名も参加するミーティングともなると、色々な人が参加することが想定されます。JANOGでは2016年6月頃から検討をはじめて、2017年8月に「JANOG行動規範」として公開しました。
https://www.janog.gr.jp/doc/janog-comment/jc11.txt
JANOG行動規範
JANOGの価値は幅広い参加者の知見と興味、率直な意見交換に支えられています。
これはメーリングリストやミーティング、ワーキンググループなど、
JANOGがその目的を達成するための様々な活動の全てに共通しています。それぞれの参加者は、異なる背景や状況、意見を持ちうることを認識し、
お互いに思いやり尊重しあいましょう。あらゆる嫌がらせや誹謗中傷、
反社会的行為は許容されません。この行動規範に反する行為や言動に対して、JANOG運営委員会は当該人物の退出や除名などの必要な措置を講ずることがあります。共に楽しみ、共に課題を乗り越え、充実したコミュニティを作っていきましょう。
以上
なにか個別の問題が発生したので制定したという経緯ではなく、海外を中心に他のコミュニティでCoCを制定することが当たり前の流れになってきており、JANOGでもこれが必要になるだろうという判断を行いました。
ドラフトを策定して公開、次のJANOGミーティングで説明、意見募集。その次のJANOGミーティングのオープンマイクで採択という流れを取りました。そのため検討から約1年を要しています。
他のコミュニティのCoCを参考にした
CoCは同じく運営委員の金子さんや松崎さんが中心となって策定をしていただきました。策定にあたって他のコミュニティ、特にネットワーク系でアジア圏でカンファレンスを行っているAPNICやAPRICOTなどを参考にしており、APNICのCoCをベースに作成しました。
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APRICOT Code of Conduct / Anti-harrassment Policy | APRICOT 2017
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HOWTO design a code of conduct for your community | Ada Initiative
前向きなCoCを作ろう
なぜCoCが必要だと判断したのかは、松崎さんがJANOG39で開催してくれたJANOG行動規範BoF (Bird of feather, 同好会)の資料でも書かれている通り、
- 僕たちがどういう価値観や倫理的指針を持って活動しているか明文化しておきたい
- 嫌がらせ(ハラスメント)は許されない行為だと明確にしておきたい
- この思いに賛同する人がどんどん参加して、このコミュニティが発展してくれると嬉しい
という3点が主な理由です。会員やミーティング参加者の行動を厳しく縛るような後ろ向きな規約を決めるのではなく、参加する人が安心して参加できるように前向きなCoCにしたいと作る際に方針を決めました。
JANOG39 :: [JANOGCOC] コミュニティの行動規範 - JANOGはどうする?
JANOGというコミュニティがどのような価値観を持っているかを表明するとともに、ハラスメントに対して許容しない、ハラスメントがあればアクションを取るということを明文化することで、そうした行為が行われた際にミーティング実行委員(スタッフ)のみなさんが自発的に行動できる指針を示しておくという効果ももあります。
CoCはコミュニティの価値を高めるために必要
「昔はそんなもの必要なかった」というご意見もいただきますが、我慢させられ泣き寝入りしてしまう人もたくさんいたのではないかと思います。
コミュニティ運営者がCoCを作ることで、そうしたハラスメントを受けた方をケアし、またハラスメントを抑止することで、コミュニティの価値や魅力を上げていくことに繋がります。それによりコミュニティが活性化して会員や参加者もその恩恵を受けることができるようになり、良い循環が生まれます。
検索するとCoCの雛形なども公開されていたりするので、まだCoCを制定していないコミュニティ運営者はぜひ制定してみてください。